瘋癲 / MUSIC IS EXPRESSION

(総評)

瘋癲(FU-TEN)の1stアルバム！この一枚インディーズですが、物凄いクオリティー高いです！今年のHIPHOPの代表的一枚といってもいい完成度が高い一枚。完成度が高いとかいう言葉で片付けられない、これほんとに邦楽なの？！と疑いたくなるようなセンスのよさなのです。HIPHOPっていうよりはSOUL！メンバーは、英語、フランス語、日本語を操る元MONDO GROSSOのB-BANJIと味のあるRapを披露するMIRIの2MCと、DJ兼トラックメイカー兼ライブのときはドラマーにまでなるDJ SUWA(あきらさん), ソウルなトラックを作り出すトラックメイカーFUJITANIの4人からなるHIPHOPバンドです。
まず、サウンドがCoolでカッコよく硬質な感じがして、聞いていて飽きが来ません。全体が醸し出す独特の硬質感と言うか、音のカッコよさが素晴らしい！瘋癲のサウンドの肝を握るのが、ドラムの生音とスクラッチなのですが、ドラムはスネアが聴いていて、硬質なサウンドをうまく作り上げる基礎になっています。またスクラッチもHOOKや、Introなどで効果的に使われていてサウンドをカッコよく仕上げるキーになっています。そして、MIRIもB-BANJIもRapの内容が、かなり真面目なんですね、恋愛もあれば、失恋もあるし、戦争への疑問など、ここまで実はみんなが考えているけど、考えないようにして、いることに正面切てRapしてるってすごいカッコいいと思います。今のHIPHOPは軽すぎるっていうやつらこそこのRapの意味をもう少し考えたほうがいいでしょう。本当のRealはこういうことだと思います。無論、ディスってる曲もあるし、ちょっと飛行機の搭乗にあわせた面白みのあるRapなど遊び心も十分にあり、二人のRapとも非常に楽しませてくれています。
さらに、曲が無駄に長くなく、短くガツンと盛り上がる曲が多いので、アルバムが終わると、え？もう終わったの？と思ってしまいます。それぐらい時間を感じさせない、勢いがある一枚なんです。そして、一枚としてすごいまとまっていて、無駄な曲が一曲もないのである。全部名曲といっても差し支えないクオリティーの高さである。
そして、歌詞カードにはB-BANJIのRapの日本語訳が書いてあるのもうれしいところです、なかなか理解できないですからねー。英語のRapは。歌だとまだ聞き取れるんですがねー。で、彼らLyricもすごいRealで、カッコいいんです、どうしてもサウンドとかノリのカッコよさに目がいきますが、結構考えさせられる一筋縄ではいかない、Lyricを聞き手に訴えかけています。
もう、このアルバム文句なしです！この時点で、今年の日本のHIPHOPいや、HIPHOPシーン全体で、3本の指に入るぐらいCoolでカッコいいできになっています！今年を代表する一枚になること間違いないです、絶対持っておけ！ オススメ:(2),(3),(4),(5),(6),(7),(8),(10),(11),(13),(14),(15)ようは全部！

(曲解説)

01.Capisce?

最初のピアノサウンドから、Coolに決めてくれて、DJのScratchが最高にカッコいい！すごい引き締まったサウンドが堪能できます。最初のイントロなのですが、これだけでも、十分聞き応えある完成度を持ったサウンドです！

02.Fu-Ten

Introのスクラッチがめちゃめちゃカッコよく決まり、その後に、B-BANJIの力強いRapが始まる。最初を飾るに相応しい勢いがある一曲です。しかも、Hookでの、力強いFu-Tenという叫びも一緒に叫びたくなります。そして、瘋癲のサウンドの肝となるドラムがすごいスネアが聞いていていい感じなんです。硬質なサウンドのを支えるこのドラムの良さをこの最初の一曲から感じ取ることができます。瘋癲のもう一つのサウンドの肝はスクラッチなのですが、それは曲の随所に入っていて、それも面白いですねー。MIRIさんのRapもスキルも高いし、言葉遊びが高度で面白いのである。まずこの一曲で、俺らがやってきたこれが、瘋癲だぜ！という挨拶をかましてくれます。

03.Break It Down

2曲目よりもさらに攻撃的な一曲！最初のB-BANJIのラフなMCとサウンドでやられてしまいます。この英語と日本語の境目のないRapの応酬こそまさに瘋癲という感じです。B-BANJIと、MIRIがお互い攻撃的に掛け合いをかます様はカッコいい！の一言です。とにかく勢いがあって圧倒されることでしょう。デジタルなサウンドもカッコよく、生音だけじゃない打ち込みと生音の絶妙なバランスを見せてくれます。

04.For My People feat.MONKEY-KEN

このアルバムの中でも１，２を争う面白い一曲。HOOKのうねるようなRapがなんとも面白く、一度聞くと強烈に耳に残って忘れられないんです。もう癖になってしまって、一緒に歌いたくなってしまいます。しかもFeaturingされているMONKEY-KENのおもしろい声とFlowをもったRapがこの曲をさらに魅力あるものにしてくれています。なんかちょっとふざけたような彼の声が、いい感じにHookと混ざり合い面白い世界観を作り上げています。B-BANJIのLyricの言葉遊びがおもしろいですし、なんといっても、MONKEY-KENのLyricの世界には引き込まれます。この曲大好きですね。

05.俺達のBlues

シングル級の一曲！彼らの代表曲ですが、この現実感のある土っぽいサウンドでカッコよさをもった一曲。ノリが良くて、気持ちよくのって、一緒に踊り飛び跳ねたくなります。最初の独特なMCも面白いです！そして、俺達のブルースという言葉から、生きてく上で絶対にやりたいようにやろうぜというLyricが心地よく爽やかに届きます。

06.5.a.m feat.akiko

MIRIのカッコいい声が最高に活かされてるのがこの曲！最初の語りがめっちゃカッコいいんです。ここまで語りをうまく使えてるHIPHOPを日本では知りません。そして、その語りからのスムーズなRapもカッコいい。このカッコよさを引き締める暗めのトラックも素晴らしく、featされているJazz Singerのakikoもそれに答えるように、素晴らしい歌声を聞かせています。儚い昔を懐かしむような感覚を覚えさせてくれるLyricもステキだし、HIPHOPにしてはすごい切ない失恋の歌をストレートに歌っているのがすごいいいんですよ。すごい考えさせられるしカッコいい！暗さの中に光るカッコよさがたまらない一曲です。

07.Pay Ya Dues

最初のIntroの叫び声が前の曲の雰囲気を打ち消し、一気に勢いのあるRapを聞かせてくれます。ディス曲ですが、それもかっこいいんだわー、あんたらがいうのは、文句はいわないわ。やっぱねー、これぐらいカッコいい曲でディスってくれないとね。この曲ではスクラッチと叫び声が効果的に入っていて曲が締まっています。

08.Good Dayz

そして、7曲目から急激に始まる8曲目！つなぎがぜんぜんわかりません。まるでCLUBで聞いてるようでした。7曲目よりも少しトーンを落として、俺達と楽しもうぜという雰囲気のLyricが気持ちがいいですね。そして、バックサウンドもピアノの音色が気持ちよく響き渡ります。

09.Before The Rain

6曲目同様、ちょっと暗めの曲の展開から・・・人生について語るB-BANJIのMCが、ゆったりとしたリズムにのって染みこんできます。

10.降り続く雨

これもLyricが面白い、個人の感情の問題やいがみ合い理解の不一致から、世界の問題へ災害や戦争へとうまくつなげていっている。今の日本じゃなかなかココまで難しいことをリリックにすること事態リアルじゃないと感じるかもしれないが、逆にそこがリアルだと・・・本当は考えないようにしてるだけで、みんなが考えていることなんだとおもうよな。HIPHOPが普通触れないことをここまで触れているLyricも素晴らしいと思う。もちろんこの曲の雰囲気にピッタリなサウンドも素晴らしくスクラッチで綺麗に決めている。ダークサイドに目を向けた作品ですわ。この作品はよくリリックを味わって欲しいと思います。

11.20000 feat (under)

10曲目の雰囲気をそのままに、Deepで、Blackな雰囲気のサウンドが重低音に響きます。HOOKでのスクラッチも曲を締めてくれます。MIRIのRapもこんなRapする人初めて聞きましたよ。カッコいいわ〜。最後のYou Understand?の言い方もカッコいいし、かなりこの声惚れました。このダークなサウンドなんだけど、決して暗いというよりも、スクラッチがうまく入っていることで、カッコいいサウンドに仕上げているところもすごいんです。なんかアンダーグラウンドならHIPHOPとかいうんじゃなくて、あーいう声だけ暗くて、といういうのではなく、全体としてカッコよくまとまっているところがこの瘋癲のすごいところである。

12.Escapizm

ピアノループが美しくそれにドラムが効果的にハマるInterlude

13.Heart feat.ERI KAMIYA

もう、この人の声が聞けるなんて！そうあのKAMIYAさんがfeaturingされているのです、僕が一番美しく暖かいと思う歌声の持ち主の女性です。もちろんJazzで培った歌唱力も素晴らしい。絶対聞いて欲しい一曲。そして、曲も、スムーズなピアノのループが心地よい気分にさせてくれて、B-BANJIのRapと、MIRIのRapを和やかに撫でるようにKAMIYAさんの歌声が素晴らしいVibesにのって聞こえてくる。そして、MIRIのRapは、ここでも、飛行機の搭乗とかけていたりして面白い。音を作り上げる素晴らしさをフライトにかけているところなんか面白いと思う。ホントこの人言葉遊びがうまいっす。そして、KAMIYAさんの絡みながら盛り上がっていく歌声もたまりません・・・完全にやられますね。

14.Ticket To Ride

最初のイントロの音が面白く、そのあとノリのいいHOOKが展開される。シンプルだが、印象に残るJazzyなPIANOのループがいい感じに響き、全体的にすごいいい感じのサウンドを聞かせてくれる。ライブで聴きたい盛りあがれる曲です。楽しい気分にさせてくれる一曲です。

15.Castaway

ここでは、なんと！あのKeith Sweatの「Make It Last Forever」のフレーズが、サンプリングされているんです！もうこれで大好きになりましたよー！最高ですよ！しかも、HOOKがとっても歌いやすく一緒に盛り上がって、Castaway!と叫びたくなります。Rapも、ひたすら楽しむ感じで、聞いていて心地よい気分にさせてくれます。このアルバム一番の名曲ですよ。是非聞いて欲しい！

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