想いをまっすぐに響かせる、Terrell Carter – All of Me

Terrell Carter は、俳優としても活動しながら、長年にわたってソウルフルな歌声で支持を集めてきたシンガーだ。舞台仕込みの表現力と、ゴスペルに根ざした深い声の響き。その両方が、ここ数年の作品でさらに研ぎ澄まされている。

「All Of Me」も、その進化をまっすぐに感じられる一曲だ。今年に入ってから彼は立て続けに水準の高い楽曲をリリースしているが、この曲では特に、情熱的で力強いシャウトが存分に味わえる。最初の一声から一気に引き込まれてしまうような圧があります。

柔らかなピアノに寄り添うように始まる歌声は、どこか感傷的で胸に沁みる。そこから感情が高ぶるにつれて、声は太く、熱を帯び、まるで心の奥底を直接揺さぶるように響いてくる。MVでも余計な演出を排し、ただ“歌で勝負する”Terrell の姿が映し出されていて、その真っ直ぐさが曲の強度をさらに高めている。

心に訴えかけるような情熱と、抑えきれない力強さ。その両方が同時に押し寄せてくる瞬間が、この曲の魅力を決定づけている。

ソウルが弾ける、ライブ感あふれる極上コラボ ー Tank And The Bangas – Move ft. Lucky Daye

Tank And The Bangas は、ニューオーリンズを中心に活動するバンドだ。
2017年の NPR Tiny Desk Contest 優勝をきっかけに世界的に注目され、ジャンルを超えた自由な表現と、ライブでの圧倒的な熱量でファンを増やしてきた。
ポエトリー、R&B、ゴスペル、ポップを融合したサウンドをステージで披露するバンドは、NPRミュージックから「アメリカ最高のライヴ・バンド」の1つとして称賛されている。2019年、メジャーデビュー作『Green Balloon』をリリースし、同年のグラミー賞「最優秀新人賞」にノミネート。3rdアルバム『Red Balloon』は、2023年のグラミー賞「最優秀プログレッシブR&Bアルバム賞」にノミネートされた。

「Move」は、そんな彼らの“ライブバンドとしての色”が最もよく出ている楽曲のひとつで、彼らが持つ“生きた音楽”の魅力がそのまま詰まった一曲です。バンドらしい、ジャズ、ソウル、ヒップホップが自然に混ざり合うグルーヴ。その中心に立つのが、フロントウーマン Tarriona “Tank” Ball の圧倒的な存在感だ。
彼女の声は、語りかけるようなスムーズさと、深く沈み込むソウルネスな強さの両方を併せ持つ。
この曲では、その声がビートに乗って自由に跳ね、時に叫び、時に囁く。まるでライブハウスの最前列で、Tank の息遣いまで感じられるような生々しさがある。
そこに加わるのが、グラミー受賞シンガー Lucky Daye。同じくニューオーリンズ出身の彼は、滑らかでソウルフルな歌声を持ちながら、Tank のエネルギーに寄り添う柔らかさも持っている。
二人の声が交差する瞬間、曲は一気に熱を帯び、まるでステージ上で即興セッションが始まったかのような高揚感が生まれる。
MVは、スタジオライブのような臨場感が全開だ。
照明、カメラワーク、メンバーの動き、Tank の表情。どれもが“音がその場で生まれている”瞬間を切り取っていて、観ているだけで身体が自然と揺れてしまう。
Tank And The Bangas が持つ“音楽の楽しさそのもの”が、映像を通してそのまま伝わってくる。

深いベースと情熱的な声が溶け合う Thundercat feat. WILLOW – ThunderWave

LA出身のベーシスト Thundercat と、WILLOW によるゆったりと流れる心地よい一曲「ThunderWave」。
静かに波が寄せては返すようなサウンドの中で、WILLOW の歌声は情熱的で美しく、曲全体に淡い光を差し込む。

シンセやドラムは控えめに寄り添いながら、曲の温度を静かに押し上げていく。
その中心にあるのは、Thundercat の深く柔らかなベースと、二人の声が重なり合う浮遊感が心地よい。特にベースの見せ場は素晴らしく引きこまれていく。
水の中をゆっくり漂うような、どこか内省的で、優しい余韻を残す一曲だ。

夜の静けさに溶け込むように、そっと心を撫でてくれる。
そんな“静かな美しさ”が、この曲の魅力だと思う。

RAYE – WHERE IS MY HUSBAND! RAYEの圧倒的表現力と躍動感

🎤 RAYEというアーティスト

RAYE(本名 Rachel Keen, 1997/ロンドン出身)は、R&B・ソウル・ジャズ・ポップを自在に横断する情熱的な歌唱の個性的なシンガーソングライター。10代から作曲家としても活躍し、Beyoncé や Little Mix などの楽曲にも関わってきた。長年のレーベルとの葛藤を経て独立し、2023年のアルバム『My 21st Century Blues』で世界的評価を獲得。感情をそのまま声に乗せるスタイルが特徴で、ジャンルを超えて強い存在感を放っている。

🔥 歌の情熱と“語り”のうまさ

RAYE の “WHERE IS MY HUSBAND!” は、RAYEの情熱的な歌唱と演劇的な表現力が一気に噴き出すような曲だ。語りかけるように始まる声には、舞台の幕が上がる瞬間のようなドラマティックな展開がまっている。サビに向かって一気に熱が高まり、力強い声で感情が爆発するように歌い上げる。叫ぶようなフレーズさえも音楽としてゴージャスで美しくまとまり、RAYE らしい情熱が曲全体を強烈に引っ張っていく。

🎶 サビの面白さとかっこよさ

この曲の魅力は、怒りとユーモアが同時に押し寄せてくるところにある。どうして見つけてくれないという怒りの感情そのままに、キャッチーで力強いメロディーを歌い上げ、叫びと歌が交互に波のように押し寄せる構成がクセになる。感情のうねりとSOULとポップスの絶妙なバランスが、RAYE の個性を最大限に魅力的に見せてくれる。

RAYEの“情熱のコントロール”が、曲全体を強烈に引っ張っていきます。

🎬 MVの映像の面白さ

MVでは、RAYE が“夫を探す妻”として、ミュージカルのように誇張されたカメラワークがコミカルな世界観を作り出している。赤を基調としたビビッドな映像は、混乱とユーモアを視覚的に増幅させ、音と映像が一体となって物語を押し進める。彼女の表情演技も圧倒的で、歌と演技が溶け合うように展開していく。

“WHERE IS MY HUSBAND!” は、RAYE の歌唱力・演技力・ユーモアがすべて詰まった、彼女の表現者としての幅を存分に感じられる一曲だ。

Mark Ronson, RAYE – Suzanne (At The Church) 生の声が触れる距離で

ロンドン出身のシンガーソングライター RAYE は、R&B・ソウル・ジャズを自由に横断しながら、深い感情をそのまま声に乗せるアーティスト。若い頃から作曲家としても評価され、ポップスのフィールドでヒットを生み出しながら、近年はよりパーソナルな表現を追求している。
彼女の歌声には、静かな強さと熱が宿っていて、聴き手の心の奥にそっと触れてくる。

今回の “Suzanne (At The Church)” のライブ映像は、その魅力が最も自然な形で表れている。
教会の静けさの中、RAYE はカーペットの上に座り、まるで自分の部屋で歌っているかのような距離感で声を届ける。座って歌うことで、呼吸の揺れや声のニュアンスがより近くに感じられ、彼女の素の表情がそのまま浮かび上がる。

ギターには Mark Ronson が参加している。
彼の柔らかいリフが RAYE の歌を静かに支え、彼女の自由さを持つ歌のうまさを際立たせている。

映像全体に漂うのは、誠実に歌と向き合う姿勢と、そこから生まれる深い余韻。
RAYE が声を伸ばすたびに、空気がわずかに揺れて、感情が形を帯びていく。
スタジオ録音では味わえない、彼女の“素の魅力”がここにはある。

この動画は、RAYE の音楽が持つ親密さと、彼女自身の表現者としての強さを改めて感じさせてくれる。
以下に Official Video を置いておきます。