声が寄り添うR&B──Q Parker, Jai Vaughn – Get Better

Q Parker とセントルイスのゴスペルシンガー Jai Vaughn が届ける“Get Better”は、甘さと優しさがそっと重なるようなデュエット曲。112で培われたQの深い声の温度と、Jai Vaughn の透明感のある歌声が、まるで寄り添うように溶け合っていく。

歌詞はとてもシンプルで静かな励ましのメッセージが軸になっている。ただ寄り添うように“良くなる未来”を信じて歌う。その優しさが、曲全体に柔らかい光を灯している。

Qの包み込むような低音を土台に、Jaiの声がその上に重なる瞬間は、まさに聞く人に“癒し”を与えてくれます、R&Bの甘さとゴスペルの温かさが自然に混ざり合い、聴いているだけで心に沁みわたる静かに胸に残る一曲。 二人の重なり合う歌声がそっと寄り添ってくれる優しいデュエットです。

遊び心と恋心が踊り出す──비비 (BIBI) – BUMPA

BIBI姉さんがライブでたびたび披露してきた“BUMPA”がついに正式リリース。いつ出るのだろうと待ち続けていた分、ついに来たという気分です。その瞬間が訪れたことが本当にうれしい。彼女にとってこういう歌謡曲テイストの楽曲は“お手の物”で、BIBIにしか出せない独特の味わいが最初の一音からしっかりにじみ出ている。

歌詞は、恋の高揚感や“ぶつかるように弾ける気持ち”を軽やかに描いたもの。気になる相手に向かって、少し挑発するように近づいていく――そんな茶目っ気のある恋の駆け引きが、明るいテンションのまま進んでいく。重さはなく、むしろ“恋の楽しい瞬間だけをすくい取った”ような軽やかさが心地よい。BIBIの声がその遊び心をやわらかく包み込み、曲全体に自然な笑顔を添えている。

曲全体に漂う“楽しさ”がとても自然で、聴いているこちらまで元気を分けてもらえるような一曲。BIBIはクールなK-POPから歌謡曲風の楽曲まで幅広く歌いこなすけれど、こうした印象的なサビを持つ歌謡曲寄りの楽曲こそ、彼女の魅力がもっとも伸びやかに発揮される。少し茶目っ気のある表情や、楽しそうに歌う姿も相まって、曲の世界がより愛らしく、より鮮やかに立ち上がってくる。

特に2つ目の動画で見せる、ラインダンスのようにみんなで楽しげに踊るシーンは、見ているだけで思わず笑顔になるほど。歌詞の“みんなで楽しむ”空気と映像がぴったり重なっていて、BIBIが放つ“陽のエネルギー”がそのまま映像に溶け込んでいる。 さらに、3つ目の動画の It’s Live では、ライブサウンドでもしっかりと歌の魅力を見せてくれていて、曲の“弾む恋心”がよりかわいらしく伝わってくる。

次々と発表される楽曲がどれも個性的で、どれも強い存在感を放つBIBI。今回の“BUMPA”もまた、彼女の多彩さと遊び心が詰まった一曲として、長く愛される作品になりそうだ。

上品で熱い声が導くR&B──Jai’Len Josey – Serial Romantic

Jai’Len Josey はアトランタ出身のR&Bシンガー。 ブロードウェイで鍛えた表現力豊かなボーカルが特徴で、 Heather Headley を思わせる上品さと熱さを併せ持つ。 Ari Lennox のソングライターとしても知られ、 2026年には Def Jam から初のフルアルバム『Serial Romantic』をリリース。 Tricky Stewart、The-Dream、Leon Thomas ら豪華制作陣が参加し、 彼女の“物語を歌う力”が存分に発揮された作品となっている。

■ 1曲目「Heart and Stirings」

濃厚でありながら流れるように展開するドラマティックな一曲。 美しさと力強さを兼ね備えたボーカルに、冒頭から一気に引き込まれる。

■ 2曲目「Freak」

しっとりとしたイントロから始まり、メロディアスで力強いボーカルが際立つ。 彼女のドラマティックな歌声の魅力が存分に発揮された楽曲。

■ 3曲目「Housewife」

ミッドテンポでじっくり聴かせる一曲。 どの楽曲にも彼女らしさが通底しており、アルバム全体の統一感を感じさせる。

■ 4曲目「New Girl」

イントロのシンセがテクノやハウスの空気をまとい、意外性のあるサウンド。 その中でも感情豊かに歌い上げることで、ボーカルがしっかり中心に立つのが彼女の強み。

■ 6曲目「Love Ain’t Shit」

しっとりとしたムードの中で、ふわりとした柔らかいボーカルを披露。 サビでは伸びやかな歌声が広がり、彼女のスキルの高さを改めて感じさせる。

■ 7曲目「Truce」

サビへ向かうメロディーが印象的で、ゆるやかな雰囲気の中にも余韻が残る。 表現力の豊かさが光る一曲。

■ 8曲目「Won’t Force You」

サビの情熱的なメロディーがかっこよく、 彼女のボーカルの熱量がしっかり伝わってくる。アルバムの中でも盛り上がる一曲。

■ 9曲目「This Time Around」

ミッドテンポで心地よいリズムが耳に残る。 メロディアスなボーカルが自然と身体に染み込んでいく。

■ 10曲目「Out Of My Body」

リズムビート中心のイントロから、力強く情熱的なボーカルが響く。 多彩な声の表情が楽しめる、個人的にも印象深い一曲。

■ 11曲目「Serial Romantic」

タイトル曲はアップテンポで軽快なナンバー。 アルバムの中でも最もノリの良い楽曲で、彼女の新しい側面が見える。

■ 12曲目「Love Somebody」

まっすぐで情熱的なソウル・バラード。 熱量のある歌声が心を掴み、聴く者を深く引き込んでいく。

■ 13曲目「I Believe (Selfish)」

アルバムを締めくくるのは、濁りのない純度の高いソウル・バラード。 “祈り”のような強さを持つボーカルと、美しいコーラスが胸に響く。 感情を押しつけるのではなく、自然と心に届く一曲。

✦ 総評

『Serial Romantic』は、Jai’Len Josey のドラマティックで表現力豊かなボーカルを 存分に味わえる一枚だ。 アルバム全体に統一感がありながら、曲ごとに異なる声の表情が現れ、 彼女の“芯の強さ”がしっかりと伝わってくる。

ミュージカルで鍛えられた声のコントロール、 R&Bの伝統を受け継ぎながら新しいサウンドを取り入れる柔軟さ、 そして何より、感情を物語として届ける力。

Def Jam からの初フルアルバムにふさわしい、 次世代R&Bの中心に立つアーティストの誕生を告げる作品だと感じる。

静かに寄り添う声──Chelsea Cara – forget me

シンガポール出身のシンガーソングライター Chelsea Cara。 スムーズで美しい歌声が印象的で、静かに心へ染み込んでくるような表現力を持つアーティストだ。 本作『forget me』は、全4曲で構成されたEPながら、 彼女の魅力がしっかりと詰まった作品になっている。

■ 1. forget me

ゆったりとしたリズムに乗せて、Chelsea Cara の伸びやかな歌声が広がっていく。 余白のあるサウンドと、柔らかく流れるメロディーが心地よく、 EPの幕開けとしてとても美しい一曲。 静かに寄り添うような歌声が印象的だ。

■ 2. idea of you

より軽快なリズムが心地よく、メロディーの流れがとても美しい。 軽やかに進んでいく曲調の中でも、彼女のボーカルの透明感がしっかりと際立っている。 自然と身体が揺れるような、爽やかな一曲。

■ 3. landline

リズミカルなサウンドに乗りながらも、 Chelsea Cara の魅力的なボーカルがしっかり主役として輝く。 声の質感がとても良く、聴き進めるほどに惹き込まれていく。

■ 4. good on my own

流れるようなメロディーが心地よく、耳馴染みの良さが際立つ一曲。 EPの中でも特に印象に残る楽曲で、 彼女の歌声の柔らかさと温度が最も美しく表れている。 個人的にも、この曲が一番好きだと感じる人は多いはず。

✦ 総評

全4曲というコンパクトなEPながら、 Chelsea Cara の持つ“スムーズで美しい歌声”と、 ジャンルを軽やかに横断するセンスがしっかりと伝わってくる作品。 今後の成長がとても楽しみになるアーティストだ。

レジェンドと紡ぐ、現代R&Bの到達点──Kehlani – “Kehlani”

本格的なR&Bアルバム──その言葉が最も自然に当てはまるのが、このセルフタイトル作『Kehlani』だ。 自分の名前を冠したアルバムを出すということは、アーティストにとって“覚悟”の表明でもある。 Kehlani はここで、キャリアの節目にふさわしい濃度とスケールのR&Bを提示している。

■ 90s〜2000sのレジェンドが集結する、圧倒的ラインナップ

まず目を引くのは、参加アーティストの豪華さだ。 Lil Wayne、Missy Elliott、Usher、Brandy、T-Pain── 90年代から2000年代にかけてR&B/HipHopを形作ってきたレジェンドたちが一堂に会している。

さらに、現行R&Bの中核を担う Leon Thomas とのデュエットも素晴らしい。 Kehlani のスムーズな声と Leon の柔らかいファルセットが自然に溶け合い、 “今のR&B”の美しさをそのまま体現している。

■ 2曲目:Lil Wayne の鋭さが、Kehlani の滑らかさを際立たせる

2曲目では、Kehlani のしなやかなメロディーに Lil Wayne のラップが鋭く絡み、 曲全体がシャープに引き締まっていく。 バックで鳴る管楽器のトーンが絶妙で、トラックに奥行きを与えているのも印象的だ。

■ 3曲目「No Such Thing」:Clipse の参加に思わず息を呑む

ここで Clipse が登場するとは思わなかった。 この“渋いところを突いてくる”センスがたまらない。 2000年代のHipHopアーティストがR&Bトラックに乗ったとき特有の、 ラップとメロディーが絡み合いながら高揚していくあの感じが完璧に再現されている。

そこから流れ込む Kehlani のメロディーは、 一度聴くと忘れられないほどスムーズで美しい。

■ 4曲目「Folded」:説明不要の名曲

すでにシングルとして話題になっている「Folded」。 静かに染み込んでいくような Kehlani の歌声、 印象的で滑らかなメロディーライン── 曲が始まった瞬間に世界が変わるような、圧倒的な吸引力がある。

■ 5曲目:Brandyとの正統派R&B

そして5曲目では、90年代R&Bの象徴とも言える Brandy を迎えた一曲。 “正統派R&B”の王道をそのまま現代に持ってきたような、 深みと温度を感じる仕上がりになっている。 Brandy の声が入るだけで空気が変わる──その魔力を改めて実感する。
まさに“声の美しさ”を味わうための一曲だ。
スロウでスムーズなトラックの上で、Kehlani の熱を帯びた情感豊かな歌声と、
Brandy の爽やかで透明感のある声が見事に重なり合う。
90年代R&Bの王道を知る者にとって、この組み合わせは胸が高鳴る。

■ 6曲目「Ohhh」:情熱的なギターと熱を帯びたボーカル

「Ohhh」では、Kehlani の熱のあるボーカルがスムーズなトラックと絡み合い、 曲全体に温度を与えている。 特に情熱的に鳴るギターのサウンドが、楽曲の深みを一段押し上げている。 声と楽器のバランスが絶妙で、アルバムの中でも印象に残る一曲だ。

■ 7曲目「Back and Forth」:Missy Elliottの“あの感じ”が帰ってくる

ここで Missy Elliott を迎えるというだけで、2000年代R&B好きにはたまらない。 イントロの Missy の入り方が“昔のまんま”で、思わず鳥肌が立つ。 Kehlani も自由に乗りながら歌っていて、二人の掛け合いがとにかく楽しい。 Missy の合いの手も往年のかっこよさそのままで、 最近の彼女のFeatの中でも特にハマっている印象だ。

■ 8曲目「Shoulda Never」:Usherとのセクシーな絡み合い

現代R&BのKing、Usher を迎えた「Shoulda Never」。 男女の声が絡み合うR&Bの醍醐味が詰まっていて、 メロディーはクールでありながら、二人の掛け合いはセクシーで美しい。 Usher が Kehlani をしっかり“認めている”と感じさせる、完成度の高いデュエットだ。

■ 9曲目「You Got It」:アルバム中の隠れた名曲

シングルカットされていない曲の中では、個人的に最も好きな一曲。 サビのメロディーがとにかく素晴らしく、 徐々に厚みを増して盛り上がっていく構成も美しい。 後半の伸びやかなシャウトも魅力的で、Kehlani の歌の強さが際立つ。

■ 10曲目「Out The Window」:正統派R&Bの魅力が光る

シングルとして耳馴染みのある曲だが、アルバムの流れで聴くとまた違う味わいがある。 リズムの心地よさと、メロディーの“聴けば聴くほどクセになる”感じが際立ち、 正統派R&Bの良さを改めて感じさせる一曲だ。

■ 11曲目「Still」:シンプルだからこそ響く

しっとりとしたストリングスのイントロから始まり、 クールな歌声に引き込まれる。 サビでは Kehlani の伸びやかな歌声が真っ直ぐ届き、 シンプルな構成ながら耳に残る美しい楽曲になっている。

■ 12曲目「Call Me Back」:T-Pain & Lil’ Jonのサウス感が炸裂

T-Pain と Lil’ Jon というサウスHIPHOPの象徴的な二人を迎えた一曲。 こてこてのサウス感が漂いながらも、Kehlani のスムーズな歌声が中心にある。 T-Pain の独特の“歌うようなRap”との対比も面白く、 アルバムの中で異彩を放つ存在だ。

■ 13曲目「Pocket feat. Cardi B」:2000年代R&Bの香りをまとった一曲

ここまでの流れ同様、2000年代R&Bの空気をしっかりまとった楽曲。 スムーズでありながら、歌とメロディーで聴かせるスタイルを貫いている。 後半の Cardi B のRapも Kehlani と相性が良く、曲をしっかり締めてくれる。

■ 14曲目「Lights On feat. Big Sean」:硬質なHIPHOPトラックに映える歌声

硬いHIPHOPサウンドが印象的な一曲で、Big Sean のラップも冴えている。 こうしたHIPHOP寄りのトラックに乗る Kehlani の歌声は、 クールさと柔らかさが同居していて非常に魅力的だ。

■ 15曲目「Sweet Nuthings feat. Leon Thomas」:甘くセクシーな現代版デュエット

引っ張りだこの Leon Thomas を迎えたデュエット。 アルバム全体が90〜2000年代R&Bの空気をまとっている中で、 この曲は“現代の二人が当時の甘いデュエットを再解釈した”ような仕上がり。 Leon も普段よりセクシーで甘い声を出していて、 Kehlani と美しく絡み合う。

■ 16曲目「Cruise Control」:ミッドテンポのセクシーR&B

ビート中心のサウンドにメロディアスな歌が乗る、セクシーなミッドテンポ曲。 じわじわと良さが染みてくるタイプの楽曲で、 アルバム後半の流れにしっかり寄り添っている。

■ 17曲目「Unlearn」:静かにアルバムを締めくくるスムーズR&B

特徴的な楽曲が続くアルバムだからこそ、 最後に置かれたこのシンプルなスムーズR&Bが心に沁みる。 余韻を残しながら、静かにアルバムを締めくくる美しいラストだ。

✦ 総評:Kehlaniの“本気”が結晶化した一枚

『Kehlani』は、渾身の一枚という言葉が最も似合うアルバムだ。 90〜2000年代のR&Bの空気をまといながら、 現代のアーティストたちとのコラボで新しい息吹も感じさせる。 Kehlani の今の充実度、そしてR&Bに真正面から向き合った姿勢が、 全17曲にわたって濃密に詰め込まれている。