PinkPantheress – Girl Like Me

Pink Pantheress の「Girl Like Me」は、彼女らしい中毒性のある歌い方と、軽やかなハウスの質感が心地よく溶け合う一曲だ。 囁くように寄り添うボーカルは、彼女特有の“淡いのにクセになる”フィーリングをそのまま閉じ込めていて、 気づけば何度もリピートしてしまう。

Pink Pantheress の音楽性は、 UKガラージや2-stepのスピード感と、 ベッドルームポップの親密さを絶妙に混ぜ合わせるところにある。 「Girl Like Me」ではその持ち味がより洗練され、 ハウス寄りのビートの上で、彼女の声がふわりと漂いながら曲の輪郭を描いていく。

MVは セクシーなダンスやユーモアを含んだかわいらしい原色な雰囲気の演出が、 彼女の世界観をそのまま映像化したように広がっていく。 色彩や構図の使い方も独特で、 “Pink Pantheressの頭の中を覗いている”ような感覚になる。 楽曲の軽やかさと映像の遊び心がぴたりと重なり、 印象的な作品として強く記憶に残る。

「Girl Like Me」は、彼女の音楽性の核である“スピード感 × ユニークな世界観”が表れた一曲。 Pink Pantheressらしさを存分に味わえる、魅力的な作品になっている。

Keri Hilsonの復活作 – WE NEED TO TALK: REDEMPTION

Timbaland「The Way I Are」で世界的ブレイクをした、デビューアルバム『In a Perfect World』ではHIPHOP的だったりエレクトロR&B寄りだった楽曲を披露していた、ソングライターとしても有名なKeri Hilsonの14年ぶりとなる復活スタジオアルバムは、より歌心を前面に出した純度の高いR&Bへと回帰しています。ボーカルの表現力がダイナミックで段違いに深化しており、パワフルな歌声に一気に引き込まれます。

そして、彼女の美しさもそのままで、むしろ昔よりもさらに美しくなったのではと思うほどです。
特に「Naked (Love)」でのパワフルな歌は、冒頭から一気に心を掴まれます。すでに“熟成されたボーカルスタイル”と言えて、20年ぶりとなる新作の素晴らしさには圧倒されます。
このBaeのMVのアコースティックバージョンでわかるように歌声に一気に引き込まれます!シンプルな構成でいながら、彼女の歌が前面に感じられます。

Method Manを招いたこのMVはまた雰囲気が違って、最新シーンを取り入れていたHIPHOP SOULな15年前の雰囲気を感じさせます。


ソングライターとしての力もいかんなく発揮されており、より“歌に特化した作品”になっています。Method Manを招いた「Searchin」のかっこよさはさすがKeri Hilsonで、HIPHOP的なクールでかっこいいスタイルをうまく取り入れているのが素晴らしいです。

「Somethin (About U)」でもしっかりと歌心を見せていて、ビートがしっかりしたサウンドの上で伸びやかな歌声を聞かせてくれます。後半のファルセットを混ぜて歌い上げていくところは、思わず聞き入ってしまいます。

前半ですでに圧倒されますが、「Bae」は少し落ち着いた雰囲気で聴かせ、サビの独特のフレーズが耳に残ります。とにかく歌の魅力を前面に出した楽曲で「こんなに歌心あふれるシンガーだったっけ?」と思わせるほどに、MVではセクシーさんも含めてベテランシンガーとしての風格が出てきています。


「Scream」も彼女の歌声を存分に味わえる一曲で、バックトラックは音数少なめで歌声を前面に出して聴かせてくれます。後半の語るような雰囲気も、ギターのバックトラックもクールでかっこいいです。

「Whatever」は少し緩やかな北欧っぽいバックトラックに乗せて、穏やかな歌を披露します。「Weigh Me Down」はサビが印象的な一曲で、ミッドテンポの軽快なフレーズが耳に残ります。


「Say That」はアコースティックなバックに合わせて、しっかり歌で聴かせています。もっと流行に合わせるタイプの人だったので、こういう“ギターとマイク一本”のような曲で歌に特化しているのは嬉しい驚きです。MVでも美しく聞かせてくれます。

「Bitches(Concerned)」では一気に力強いR&Bサウンドに戻り、リズムトラックが非常にかっこよく、その上で力強い歌声を聴かせてくれます。短い曲ですがしっかり盛り上げます。「Sorry(Fess Up)」も短い曲ですが、歪んだようなアコースティックギターの音が印象に残ります。

「1 Hunnit」ではRapperのYoung Thugを招き、15年前の作品に戻ったようなクールなかっこよさがあります。こういう曲は2000年代のHIPHOP SOULを思い起こさせます。

「The Hard Way」はパワフルで伸びやかなボーカルが印象的で、音数少ないリズムトラックの上を泳ぐように歌い上げていくので、メロディーの作り手としての完成度の高さを感じます。

「Again」はシングルカットされた一曲ですが、癖になるメロディアスで盛り上がる曲調はさすがです。このパワフルで一度聴いたら離れないサビもいいし、サビでの低音と盛り上げる男性ボーカルが面白さを増していて、そこからKeri Hilsonの見事なボーカルに圧倒されます。本当に一度聴くと癖になる一曲です。MVも彼女が自由に歌いながら、男女の後悔が描かれていて、繰り返し間違いを犯し続ける姿を描いています。

「Who」も力強いボーカルで一気に盛り上げる曲で、Keri Hilsonのボーカルのうまさがこれでもかと感じられる曲になっています。トラックはわりと変わった音色などが使われていますが、聴くほど癖になっていきます。

「XO」はシンプルなバラードで、柔らかく優しく歌っていきます。この1枚のアルバムでKeri Hilsonのさまざまな歌が感じ取れる作品になっていて、ボーカルが躍動感にあふれています。「Lovin U」はタイトル通り美しい愛を歌い、その綺麗に流れる歌声が素敵です。美しい一曲です。「Thankful」は最後の曲ですが、アルバム全体を通しての力強さを感じさせる曲で締めてくれます。こういうミッドテンポで力強く盛り上がる曲は、彼女の今のスタイルに合っていますね。

Keri Hilsonは14年の空白を経て、歌心を取り戻したかのように見事に歌い上げています。

揺れ動く感情をそのまま響かせる声──Alicia Creti – MINDFIELDS

モントリオール出身で現在はLAを拠点に活動するシンガーソングライター、Alicia Creti。 ソウルフルでパワフル、そして“感情がそのまま声になったような”生々しい歌唱が魅力の新世代R&Bシンガーだ。幼い頃からピアノとともに育ち、家族との深い絆や心の葛藤を音楽に落とし込んできた彼女の歌は、どの曲にも揺れ動く感情の芯が宿っている。

そんな彼女が届けたEP 『MINDFIELDS』 は、全8曲というコンパクトな構成ながら、どの曲も印象的で、彼女の多面的な表現力が詰まった一枚になっている。

1. Mindfields

静かに始まるピアノの響きが美しく、そこに彼女の声が少しずつ熱を帯びながら重なっていく。 曲が進むにつれて感情が膨らんでいく構成は、まさにタイトルの“Mindfields”を進むような緊張感と高揚を描いている。 内側に渦巻く葛藤が、徐々に表情を変えながら爆発していく姿がとてもカッコいい一曲。

3. Strange

柔らかいトーンで歌われるミッドテンポの楽曲。 普段のパワフルな彼女とは少し違い、包み込むような優しさが前面に出ている。 “Strange”というタイトルが示すように、心の中の違和感や微妙な距離感を描きながらも、どこか温かい。 彼女の声の繊細な側面が美しく表れた一曲。

4. Bleeding Me Dry

シックで落ち着いたイントロから始まり、静かな語りかけのような歌声が徐々に熱を帯びていく。 この曲の魅力は、冷静さと激情の境界線を行き来するボーカルの表現力。 “Bleeding Me Dry”というタイトルが示すように、愛の中で消耗していく痛みが滲む。 悲しさと強さが同居する、彼女らしいクールな一曲。

5. Merry Go Round

浮遊感のあるサウンドが心地よく、彼女には珍しい緩やかで穏やかな雰囲気の楽曲。 どこか痛みを受け入れながら応援するような雰囲気の曲です。EPの中でひときわ柔らかい空気を放つ一曲。

6. No One’s Business

印象的な一曲。 耳に残るサビのメロディーと、彼女の力強い歌声が完璧に噛み合っている。 テンポのある楽曲では、彼女の声のインパクトが本当に武器になる。 最後のフェイクで一気に盛り上がる展開は圧巻で、一度聴いたら忘れられない。

7. Overwhelmed

しっとりとしたバラードで、タイトル通り“圧倒されるような情緒”が漂う。 彼女のパワフルな歌声が、静かな曲調の中でより深く響く。 感情の揺れをそのまま声に乗せる彼女のスタイルが最も生きるタイプの楽曲。

8. To Myself

少しファンクなニュアンスを含んだ軽快な一曲。 曲が進むにつれて熱を帯びていき、最後にはしっかりと感情が解き放たれる。 自己対話のようなテーマが、彼女の歌声の強さとよく合っている。

総評

『MINDFIELDS』は、Alicia Creti の感情をそのまま音にしたようなEPだ。 ピアノを軸にした美しいサウンドと感情の揺れをそのまま響かせる歌声。 短い構成ながら、彼女の表現力の幅と、心の奥にある葛藤や優しさが丁寧に描かれている。

新世代R&Bの中でも、ここまで“感情”をリアルに伝えられるシンガーは多くない。 Alicia Creti の魅力が詰まった、聴き応えのある一枚。

声が寄り添うR&B──Q Parker, Jai Vaughn – Get Better

Q Parker とセントルイスのゴスペルシンガー Jai Vaughn が届ける“Get Better”は、甘さと優しさがそっと重なるようなデュエット曲。112で培われたQの深い声の温度と、Jai Vaughn の透明感のある歌声が、まるで寄り添うように溶け合っていく。

歌詞はとてもシンプルで静かな励ましのメッセージが軸になっている。ただ寄り添うように“良くなる未来”を信じて歌う。その優しさが、曲全体に柔らかい光を灯している。

Qの包み込むような低音を土台に、Jaiの声がその上に重なる瞬間は、まさに聞く人に“癒し”を与えてくれます、R&Bの甘さとゴスペルの温かさが自然に混ざり合い、聴いているだけで心に沁みわたる静かに胸に残る一曲。 二人の重なり合う歌声がそっと寄り添ってくれる優しいデュエットです。

遊び心と恋心が踊り出す──비비 (BIBI) – BUMPA

BIBI姉さんがライブでたびたび披露してきた“BUMPA”がついに正式リリース。いつ出るのだろうと待ち続けていた分、ついに来たという気分です。その瞬間が訪れたことが本当にうれしい。彼女にとってこういう歌謡曲テイストの楽曲は“お手の物”で、BIBIにしか出せない独特の味わいが最初の一音からしっかりにじみ出ている。

歌詞は、恋の高揚感や“ぶつかるように弾ける気持ち”を軽やかに描いたもの。気になる相手に向かって、少し挑発するように近づいていく――そんな茶目っ気のある恋の駆け引きが、明るいテンションのまま進んでいく。重さはなく、むしろ“恋の楽しい瞬間だけをすくい取った”ような軽やかさが心地よい。BIBIの声がその遊び心をやわらかく包み込み、曲全体に自然な笑顔を添えている。

曲全体に漂う“楽しさ”がとても自然で、聴いているこちらまで元気を分けてもらえるような一曲。BIBIはクールなK-POPから歌謡曲風の楽曲まで幅広く歌いこなすけれど、こうした印象的なサビを持つ歌謡曲寄りの楽曲こそ、彼女の魅力がもっとも伸びやかに発揮される。少し茶目っ気のある表情や、楽しそうに歌う姿も相まって、曲の世界がより愛らしく、より鮮やかに立ち上がってくる。

特に2つ目の動画で見せる、ラインダンスのようにみんなで楽しげに踊るシーンは、見ているだけで思わず笑顔になるほど。歌詞の“みんなで楽しむ”空気と映像がぴったり重なっていて、BIBIが放つ“陽のエネルギー”がそのまま映像に溶け込んでいる。 さらに、3つ目の動画の It’s Live では、ライブサウンドでもしっかりと歌の魅力を見せてくれていて、曲の“弾む恋心”がよりかわいらしく伝わってくる。

次々と発表される楽曲がどれも個性的で、どれも強い存在感を放つBIBI。今回の“BUMPA”もまた、彼女の多彩さと遊び心が詰まった一曲として、長く愛される作品になりそうだ。