Skoop×FOH、J-R&Bの美学が再結晶した──Meteorがつないだ絆『Skoop On Somebody / 90° feat.Full Of Harmony』

Meteorが、日本のR&Bを代表する二組を出会わせてくれました。もちろんSkoop On SomebodyとFull Of Harmonyは昔から面識もあり、互いのグループだけで十二分なコーラスワークを成立させられる実力者同士です。しかし、二組が組み合わさって一つの楽曲を作ることはこれまでありませんでした。それが今回、Meteorのプロデュースによって実現し、Skoop On Somebodyの楽曲にFull Of Harmonyの3人が加わることで、最強のハーモニーが生まれています。

Takeのボーカルの濃厚さと、Hiroのフェイク、ARATAとYUTAKAのハーモニーとKo-Hey、KO-ICHIROが作り出すコーラスワークの見事さ──どれも圧巻です。そしてMeteorの3人(Titan / LIBRA / Scorpius)は公式クレジットこそ明記されていないものの、 TAKEが語る「男9人のコラボ」という言葉からも、 サウンド面だけでなくコーラスワークにも関与していることが強く示唆されます。 実際、楽曲の厚みのあるハーモニーにはMeteor特有の声の重ね方が感じられ、 Skoop On Somebody × Full Of Harmony × Meteorという三組のR&B美学が 一つの楽曲に結晶している。

これだけのメンツが歌に絡み合い、そしてMeteorが得意とする本格的なR&Bサウンドとコーラスワークで聴かせてくれるのだから悪いわけがありません。Nice’n SlowなんてSKOOPの代表曲のタイトルを歌詞でTAKEさんに歌わせるのも、MeteorがSkoopを心から愛していることが伝わってきます。

そもそも、ここまで人数が多いとコーラスワークの譜割もものすごい難しく、下手をするとダサくなってしまうこともあるはずです。しかし、それをかっこよくまとめてしまうのが、さすがMeteorだなと思わせます。どうしても長いアーティスト活動を経て、POPな雰囲気を織り交ぜたR&Bが多くなり、90年代~2000年代の濃厚なボーカルグループのような曲をやる機会が減っていた二組が、ここでは全振りで濃密なハーモニーとコーラスワークを披露しています。これはFull Of Harmonyのファンにも、Skoop On Somebodyのファンにも満足してもらえるスタイルでしょう。Meteorのプロデューサーとしての力があってこその出来であり、Takeさんの歌をここまで引き出している点も本当に素晴らしいです。来年のSKOOPのデビュー30周年を祝うにふさわしい一曲じゃないでしょうか。

映像はARATAが手がけていて、夜の雰囲気がこの濃密な歌の世界観をさらに盛り上げます。6人がとても楽しそうに歌い、立ち代わり入れ替わり声を重ねていく映像は、さりげないかっこよさとライブ感があって、何度も見たくなる魅力があります。

現代に息づくボーカルグループ──Sentury- Dont Mind

4人組実力派ボーカルグループ Sentury の最新曲「Don’t Mind」は、艶やかな歌い方と厚みのあるコーラスワークが堪能できる一曲だ。ゆるやかなR&Bトラックの上で4人それぞれの声質が滑らかに重なり、“2000年代の質感をほのかに漂わせつつ現行R&Bにも自然に馴染む”絶妙なバランスを生み出している。

Senturyはヒューストンを拠点に活動する Leo、CJ、AJ、Rico の4人からなるボーカルグループ。それぞれの声質は異なりつつ、ひとつの呼吸のように溶け合うのが最大の武器だ。リードの滑らかな歌い回し、ハーモニーの柔らかな立ち上がり、低音を支える深い声──この“役割の分担と調和”が、クラシックR&Bの美学を思わせる厚みを生み出している。

近年、ボーカルグループがシーンの中心に立つことは少なくなったが、Senturyはその伝統を現代的な感性でアップデートし続けている。Jeffrey Osborne「Only Human」のカバーで話題を集めたように、クラシックを理解しつつ、2BYGらとともに新しいサウンドの中でその魅力を再構築する稀有な存在だ。

この曲の核となるのは“声の色気”だ。余裕のある艶やかなボーカルが曲全体を包み込み、サビでは声が重なって立体的に広がり、空気を震わせる。2000年代のボーカルグループを思わせる厚みを持ちながら、サウンドの質感は洗練されており、ROMEの歌い方にも通じる“懐かしさ × 新しさ”が際立つ。

「Don’t Mind」は、Senturyの魅力が最も端的に表れた一曲。艶やかな歌い方、厚みのあるハーモニー、そして4人の声が生む独特のフィーリング。こうした楽曲を今も高いクオリティで届けてくれるグループは貴重で、これからも彼らの楽曲を聞きたいと思わせてくれます。

Final Draft – Slow Dance

Final Draft の「Slow Dance」EPは、温かみのあるソウルと重厚なハーモニーが心地よく響く作品で、3人組ならではの包容力あるコーラスワークがスロー中心の楽曲を丁寧に形にしている。
往年のソウルを思わせる「Slow Dance」は柔らかなグルーヴが心をほどき、「You」では美しいメロディーと語りかけるようなリードが感情の輪郭を鮮やかに描く。
「Runnin」は穏やかなスローバラードでハーモニーの巧さが際立ち、「End of the Night」ではSpanishなニュアンスをまとった疾走感のあるトラックがグループの“静かな熱”を印象づける。
「Blessed」はゴスペル的な透明感が広がる美しい一曲で、EP全体を温かく締めくくっている。

明るさの奥にある強さ – FLO – Leak It

FLO の「Leak It」は、明るいR&Bの軽快さの中に、グループとしての強さがしっかり刻まれた一曲だ。3人の声はただ美しく重なるだけではなく、前に押し出すようなパワーがある。ハーモニーは鋭く、声の存在感が曲全体を引っ張っていく。FLOらしいコーラスワークの巧みさに加えて、若さと自信がそのまま音になっている。

ビートは軽やかで、跳ねるようなリズムが曲を明るく照らす。3人の声はそれぞれが主張しながらも、ひとつのメロディーとしてまとまっていく。

歌詞は、別れた相手への軽い当てつけのようなニュアンスが中心だ。 重さはなく、むしろ“もうあなたに振り回されない”という前向きな強さがある。SNS時代の恋愛のリアルさを、FLOらしいユーモアと自信で描いている。

ミュージックビデオは、曲の明るさとは少し違う、不思議で夢の中のような世界観が印象的だ。色彩は強く、空間はどこか非現実的で、3人が同じ場所にいるのに距離があるようにも見える。

「Leak It」は、明るくてパワフルなR&Bに、FLOの自信と遊び心が詰まった一曲だ。

3人の声が描くハーモニー─Pino – I Don’t Wanna Lose (Palagi) (feat. Fern. & kyleaux)

Pino の「I Don’t Wanna Lose (Palagi)」は、3人の声がひとつのボーカルグループのように溶け合う、美しいR&Bだ。カナダトロントのアーティストPino、フィリピンのアーティストFern.とkyleaux はそれぞれシンガーでありプロデューサーでもあり、この曲では3人全員が制作に関わっている。そのため、声の重ね方やハーモニーの配置が驚くほど緻密で、耳に心地よく響く。

サウンドはシンプルで、派手さはないが、その分だけ3人の声の艶やかさが際立つ。それぞれの声質が役割を持つように重なり、ひとつのメロディーを立体的に描き出している。まるでコーラスグループのような美しさがある。

まっすぐな想いを歌った誠実なラブソングで、“Palagi” はフィリピン語で「いつも」「ずっと」という意味。英語とフィリピンのタガログ語が自然に混ざり合い、異国の響きが恋の温度をやわらかく包む。聞き慣れない言葉が差し込まれることで、曲に独特の甘さと切なさが生まれている。

シンガーである3人が共同でプロデュースしているからこそ、声の魅力が最大限に引き出されている。ビートは控えめで、ハーモニーが主役。シンプルなR&Bの美しさを改めて感じさせてくれる一曲だ。Pino の作品の中でも特に、声の調和と誠実な感情がまっすぐ伝わる楽曲だと思う。