Kevon Edmonds の「No Ordinary Love」は、超ベテランらしい落ち着きと深みを湛えた一曲。Babyfaceの実兄であり、After 7 のメンバーとして長年第一線で活躍してきた彼は、そのキャリアの中で常に“美しい声”で愛されてきました。今作でもその魅力は健在で、肩ひじを張らずに優しく包み込むような歌声が、聴く人の心をそっとほどいていきます。 派手さよりも誠実さを選ぶようなアレンジの中で、彼の声の温度や息づかいがより際立ち、長い年月を重ねたアーティストだからこそ出せる“静かな説得力”が胸に残る作品です。
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Smoothにほどける切なさ──Paradise – Rredictable
Paradiseの最新シングルはキラキラしたイントロからSmoothな心地よいメロを通して、一気に引き込まれるサビで、切なげなメロディーに胸を打ちます。JayDonとともに若いR&Bシーンを引っ張る存在として、ソングライターとしての評価も高いParadiseは要注目です。
さらに今作では、声のニュアンスの使い分けがより繊細になり、淡い感情の揺れをそのまま閉じ込めたような歌い方が印象的で特に後半からの転調して盛り上がっていきます。ミニマルなビートの上で美しく浮かび上がるメロディーは、夜の静けさにそっと寄り添うようで、聴くほどに余韻が深まる一曲です。
今年のR&Bを決定づける一枚── Tone Stith – THE EDGE
──静かに熱を帯びる、今年もっとも美しい正統派R&B
Tone Stith の最新作『THE EDGE』は、今のR&Bの最先端を走りながら、どこか2000年代の美しいメロディセンスを思い出させる一枚だ。
ダンサブルな正統派なR&Bとしての純粋な“質”を選び、ロディと声の魅力を最大限に引き出している。どの楽曲も輝くものがあり、まさにどの曲もおすすめできる
今年のR&B作品の中でも、ひときわ静かに輝くアルバムだと思う。
Tone Stith は、かつて Desmond Dennis と組んだ SJ3 で2000年代のIndie Soul好きにはしられた存在でしたが、その後は Chris Brown のソングライター/プロデューサー としても活躍し着実に実力を示し続けてきた人物。
メロディの作り方、声の重ね方、ビートの置き方──そのすべてに“職人の精度”がある。
本作は、そんな彼のR&B観がもっともクリアに表れた作品だ。
■ 1. THE EDGE
アルバムの幕開けから、空気が一気に引き締まる。
アップテンポでダンサブルなのに、音の輪郭はシャープで、無駄がない。
最近のR&Bに物足りなさを感じていた人ほど、この曲のキレの良さに驚くはず。
「こういうR&Bを待っていた」と自然に思わせる一曲。UsherやChris BrownやMichael Jacksonなどを彷彿させる正統派。
■ 2. FLY
昨年から話題になっていたメロディーが印象的な楽曲。
浮遊感のあるビートが耳に残り、何度聴いても飽きない。
Toneの声の置き方が絶妙で、シンプルなメロディの中に柔らかな揺れがある。
メロディは大きく跳ねず、同じ音階を反復しながら少しずつ表情を変えていく。
この“変化の少なさ”が逆に中毒性を生んでいて、何度聴いても飽きない理由になっている。
■ 3. PAGEANT STAGE
しなやかで、どこかドラマティックな雰囲気を持つ曲。
メロディの流れが美しく、Toneの流れるような歌唱が曲の余白を際立たせる。サビにかけてのハーモニーの重なりが一気にひきつける、アルバムの中でも特に“見せ方”が上手い一曲。後半のファルセットを混ぜながらサビが盛り上がっていく様は感動的です。
■ 4. BACK AROUND
ビートの跳ね方が心地よく、2000年代R&Bの香りがふわりと漂う。
声の重ね方が丁寧で、Toneのソングライターとしてのスキルがよく表れている。心地よいハーモニーと流れるようなメロディーに聞きほれる。サビの雰囲気は90年代から2000年代にかけてのR&Bのようなインパクトがあります。
夜の部屋で静かに聴きたくなる曲。
■ 5. SHUT UP
イントロから遊びがはいった感じで個性的な歌とサウンドに魅了されるダンサブルなミッドテンポの色気が漂う楽曲。キックは深く、スネアは乾いていて、空間の広いミックスが Tone の声を際立たせる。
声の抜き方、ハーモニーの重ね方に、サビの盛り上がりとToneの美学が凝縮されている。
YouTubeのMVでも分かるように、彼の声の質感がもっとも映えるタイプの曲。
■ 6. I QUIT
派手なサウンドに、ドラムとベースが激しく絡み合うアップサウンド
このアルバムでは一番個性的で、豪快なボーカルの表現力の広がりを感じることができる。
サウンドもシャープでダンサブルで盛り上がる楽曲です。
■ 7. CAN YOU FEEL IT TOO
イントロのハイトーンボイスからぐっと持っていかれて、そこからTone Stithのちょっと妖艶な歌声とビートの揺れが心地よく、セクシーに曲が展開していきます。スネアのわずかな遅れが、曲全体に柔らかいグルーヴを生んでいます。ミッドテンポな美しい楽曲で、サビではメロディと声の重なりが美しい層を作る。
夜のドライブに似合う、静かに熱を帯びるR&B。
■ 8. COME TO ME
本作最大の衝撃。
メロディラインがとにかく美しい。イントロのピアノから印象的で、そこから特にサビのコード進行とメロディーの上質な美しさは、2000年代の名曲を思わせる耽美な雰囲気を感じさせる。ハイトーンなTone の声がその上を滑らかに舞う。ハーモニーの重ね方も秀逸で、声が楽器のように美しく響きます。
Tone Stith の“メロディメーカーとしての才能”がもっとも端的に現れた曲。
■ 9. IF YOU LET ME
柔らかく、優しいトーンで進むバラード。
Toneのファルセットが美しく、心の奥に静かに触れてくる。
アルバム後半の空気を穏やかに整える役割を果たしている。
■ 10. BETTER DAYS
ギターのサウンドが柔らかく包み込むエンディングを飾る曲です。
どこか切なげなコード進行と余韻を残しながら、Toneの世界観を丁寧に締めくくる。
ほんのり哀愁が残る美しいラストです。
■ 総評
『The EDGE』は、R&Bの“今”を更新しながら、2000年代の美しいメロディセンスを取り戻した作品だ。
Tone Stith がこれまで積み重ねてきたソングライティングの技術、声の表現力、そしてR&Bへの深い愛情が、全曲に宿っている。
静かで、深くて、長く聴ける。
そんな一枚。
3人の声が描くハーモニー─Pino – I Don’t Wanna Lose (Palagi) (feat. Fern. & kyleaux)
Pino の「I Don’t Wanna Lose (Palagi)」は、3人の声がひとつのボーカルグループのように溶け合う、美しいR&Bだ。カナダトロントのアーティストPino、フィリピンのアーティストFern.とkyleaux はそれぞれシンガーでありプロデューサーでもあり、この曲では3人全員が制作に関わっている。そのため、声の重ね方やハーモニーの配置が驚くほど緻密で、耳に心地よく響く。
サウンドはシンプルで、派手さはないが、その分だけ3人の声の艶やかさが際立つ。それぞれの声質が役割を持つように重なり、ひとつのメロディーを立体的に描き出している。まるでコーラスグループのような美しさがある。
まっすぐな想いを歌った誠実なラブソングで、“Palagi” はフィリピン語で「いつも」「ずっと」という意味。英語とフィリピンのタガログ語が自然に混ざり合い、異国の響きが恋の温度をやわらかく包む。聞き慣れない言葉が差し込まれることで、曲に独特の甘さと切なさが生まれている。
シンガーである3人が共同でプロデュースしているからこそ、声の魅力が最大限に引き出されている。ビートは控えめで、ハーモニーが主役。シンプルなR&Bの美しさを改めて感じさせてくれる一曲だ。Pino の作品の中でも特に、声の調和と誠実な感情がまっすぐ伝わる楽曲だと思う。
しなやかに、自由に声で世界を作るアーティスト ─ Durand Bernarr – “Overqualified” (Official Music Video)
Durand Bernarr の「Overqualified」は、彼の持つ表現力の豊かさが最も鮮やかに立ち上がる一曲だ。イントロのシンセが鳴った瞬間、空気が一気に切り替わる。少しレトロで、どこかファンクの香りも漂う音色。その“最初の一音”だけで、もう彼の世界に引きずり込まれてしまう。そこからしっとりと絡むように入ってくる歌声は、柔らかさと艶をまといながら、確かな芯を持って聞き手に響く。
Durand の魅力は、ただ歌が上手いという次元を超えている。声で感情を描き、キャラクターを演じ、空気そのものを変えてしまう。囁くような弱音から、跳ねるような軽さ、ふざけているようでいて突然本気を見せる瞬間まで、その振れ幅の広さが圧倒的だ。「Overqualified」では、その表現力がいつも以上にR&Bへと深く振り切れている。滑らかなメロディーラインに、彼の声がしなやかに絡みつき、曲全体を包み込むように広がっていく。
歌詞は、彼らしいユーモアと自己肯定が混ざり合った世界観だ。“Overqualified=資格過多”というタイトルの通り、自分の能力や魅力を軽やかに誇りながら、どこか自虐的で、でも誠実な視点がある。自分を笑いながら肯定する姿勢は、彼の音楽の核にある“自由さ”そのものだ。過剰であることを恐れず、むしろ楽しむように歌う姿が、この曲の強さと魅力を生んでいる。
ミュージックビデオでは、その表現力がさらに立体的に広がる。ファッション、表情、動き──すべてが彼のセンスで満たされている。コミカルなのにスタイリッシュで、ふざけているようでいて美しい。色彩は鮮やかで、カメラワークは大胆。どの瞬間も“Overqualified”という言葉を体現するように、余裕と遊び心が溢れている。
「Overqualified」は、Durand Bernarr の魅力が最も濃縮された一曲だ。R&Bとしての完成度の高さ、声の表現力、ユーモアと自信に満ちた歌詞、そして映像のセンス。そのすべてが重なり合い、唯一無二の世界を作り上げている。彼の音楽が好きな人にとっても、初めて触れる人にとっても、この曲は“彼の本質”をまっすぐに感じられる作品だと思う。
Durand Bernarr は、幼い頃からプロフェッショナルなブラックミュージックの
現場に触れて育ったアーティストだ。父が Earth, Wind & Fire のツアーで
サウンドエンジニアを務めていたこともあり、家の中には常にソウルやファンクが
流れ、ステージ裏の空気を吸いながら自然と音楽的な感覚を磨いていった。
MVはスタイリッシュで、彼の余裕と自信が映像全体に満ちている。
表情など、ふざけているようでいて、実はすべてが計算されているような、
Durand Bernarr ならではの魅力が鮮やかに浮かび上がる。
彼の音楽を聴くと、自然と笑顔になり、気づけば何度もリピートしてしまう。
「Overqualified」は、Durand Bernarr の“楽しさ”と“成熟したR&B”が
最も美しく同居した作品だ。