Tone Stith の最新作『THE EDGE』は、今のR&Bの最先端を走りながら、どこか2000年代の美しいメロディセンスを思い出させる一枚だ。 ダンサブルな正統派なR&Bとしての純粋な“質”を選び、ロディと声の魅力を最大限に引き出している。どの楽曲も輝くものがあり、まさにどの曲もおすすめできる 今年のR&B作品の中でも、ひときわ静かに輝くアルバムだと思う。
Tone Stith は、かつて Desmond Dennis と組んだ SJ3 で2000年代のIndie Soul好きにはしられた存在でしたが、その後は Chris Brown のソングライター/プロデューサー としても活躍し着実に実力を示し続けてきた人物。 メロディの作り方、声の重ね方、ビートの置き方──そのすべてに“職人の精度”がある。 本作は、そんな彼のR&B観がもっともクリアに表れた作品だ。
■ 1. THE EDGE アルバムの幕開けから、空気が一気に引き締まる。 アップテンポでダンサブルなのに、音の輪郭はシャープで、無駄がない。 最近のR&Bに物足りなさを感じていた人ほど、この曲のキレの良さに驚くはず。 「こういうR&Bを待っていた」と自然に思わせる一曲。UsherやChris BrownやMichael Jacksonなどを彷彿させる正統派。
■ 4. BACK AROUND ビートの跳ね方が心地よく、2000年代R&Bの香りがふわりと漂う。 声の重ね方が丁寧で、Toneのソングライターとしてのスキルがよく表れている。心地よいハーモニーと流れるようなメロディーに聞きほれる。サビの雰囲気は90年代から2000年代にかけてのR&Bのようなインパクトがあります。 夜の部屋で静かに聴きたくなる曲。
■ 5. SHUT UP イントロから遊びがはいった感じで個性的な歌とサウンドに魅了されるダンサブルなミッドテンポの色気が漂う楽曲。キックは深く、スネアは乾いていて、空間の広いミックスが Tone の声を際立たせる。 声の抜き方、ハーモニーの重ね方に、サビの盛り上がりとToneの美学が凝縮されている。 YouTubeのMVでも分かるように、彼の声の質感がもっとも映えるタイプの曲。
■ 6. I QUIT 派手なサウンドに、ドラムとベースが激しく絡み合うアップサウンド このアルバムでは一番個性的で、豪快なボーカルの表現力の広がりを感じることができる。 サウンドもシャープでダンサブルで盛り上がる楽曲です。
■ 7. CAN YOU FEEL IT TOO イントロのハイトーンボイスからぐっと持っていかれて、そこからTone Stithのちょっと妖艶な歌声とビートの揺れが心地よく、セクシーに曲が展開していきます。スネアのわずかな遅れが、曲全体に柔らかいグルーヴを生んでいます。ミッドテンポな美しい楽曲で、サビではメロディと声の重なりが美しい層を作る。 夜のドライブに似合う、静かに熱を帯びるR&B。
■ 8. COME TO ME 本作最大の衝撃。 メロディラインがとにかく美しい。イントロのピアノから印象的で、そこから特にサビのコード進行とメロディーの上質な美しさは、2000年代の名曲を思わせる耽美な雰囲気を感じさせる。ハイトーンなTone の声がその上を滑らかに舞う。ハーモニーの重ね方も秀逸で、声が楽器のように美しく響きます。 Tone Stith の“メロディメーカーとしての才能”がもっとも端的に現れた曲。
■ 9. IF YOU LET ME 柔らかく、優しいトーンで進むバラード。 Toneのファルセットが美しく、心の奥に静かに触れてくる。 アルバム後半の空気を穏やかに整える役割を果たしている。
■ 10. BETTER DAYS ギターのサウンドが柔らかく包み込むエンディングを飾る曲です。 どこか切なげなコード進行と余韻を残しながら、Toneの世界観を丁寧に締めくくる。 ほんのり哀愁が残る美しいラストです。
■ 総評 『The EDGE』は、R&Bの“今”を更新しながら、2000年代の美しいメロディセンスを取り戻した作品だ。 Tone Stith がこれまで積み重ねてきたソングライティングの技術、声の表現力、そしてR&Bへの深い愛情が、全曲に宿っている。