Final Draft の「Slow Dance」EPは、温かみのあるソウルと重厚なハーモニーが心地よく響く作品で、3人組ならではの包容力あるコーラスワークがスロー中心の楽曲を丁寧に形にしている。
往年のソウルを思わせる「Slow Dance」は柔らかなグルーヴが心をほどき、「You」では美しいメロディーと語りかけるようなリードが感情の輪郭を鮮やかに描く。
「Runnin」は穏やかなスローバラードでハーモニーの巧さが際立ち、「End of the Night」ではSpanishなニュアンスをまとった疾走感のあるトラックがグループの“静かな熱”を印象づける。
「Blessed」はゴスペル的な透明感が広がる美しい一曲で、EP全体を温かく締めくくっている。
投稿者「kama-d」のアーカイブ
揺れ動く感情をそのまま響かせる声──Alicia Creti – MINDFIELDS
モントリオール出身で現在はLAを拠点に活動するシンガーソングライター、Alicia Creti。 ソウルフルでパワフル、そして“感情がそのまま声になったような”生々しい歌唱が魅力の新世代R&Bシンガーだ。幼い頃からピアノとともに育ち、家族との深い絆や心の葛藤を音楽に落とし込んできた彼女の歌は、どの曲にも揺れ動く感情の芯が宿っている。
そんな彼女が届けたEP 『MINDFIELDS』 は、全8曲というコンパクトな構成ながら、どの曲も印象的で、彼女の多面的な表現力が詰まった一枚になっている。
1. Mindfields
静かに始まるピアノの響きが美しく、そこに彼女の声が少しずつ熱を帯びながら重なっていく。 曲が進むにつれて感情が膨らんでいく構成は、まさにタイトルの“Mindfields”を進むような緊張感と高揚を描いている。 内側に渦巻く葛藤が、徐々に表情を変えながら爆発していく姿がとてもカッコいい一曲。
3. Strange
柔らかいトーンで歌われるミッドテンポの楽曲。 普段のパワフルな彼女とは少し違い、包み込むような優しさが前面に出ている。 “Strange”というタイトルが示すように、心の中の違和感や微妙な距離感を描きながらも、どこか温かい。 彼女の声の繊細な側面が美しく表れた一曲。
4. Bleeding Me Dry
シックで落ち着いたイントロから始まり、静かな語りかけのような歌声が徐々に熱を帯びていく。 この曲の魅力は、冷静さと激情の境界線を行き来するボーカルの表現力。 “Bleeding Me Dry”というタイトルが示すように、愛の中で消耗していく痛みが滲む。 悲しさと強さが同居する、彼女らしいクールな一曲。
5. Merry Go Round
浮遊感のあるサウンドが心地よく、彼女には珍しい緩やかで穏やかな雰囲気の楽曲。 どこか痛みを受け入れながら応援するような雰囲気の曲です。EPの中でひときわ柔らかい空気を放つ一曲。
6. No One’s Business
印象的な一曲。 耳に残るサビのメロディーと、彼女の力強い歌声が完璧に噛み合っている。 テンポのある楽曲では、彼女の声のインパクトが本当に武器になる。 最後のフェイクで一気に盛り上がる展開は圧巻で、一度聴いたら忘れられない。
7. Overwhelmed
しっとりとしたバラードで、タイトル通り“圧倒されるような情緒”が漂う。 彼女のパワフルな歌声が、静かな曲調の中でより深く響く。 感情の揺れをそのまま声に乗せる彼女のスタイルが最も生きるタイプの楽曲。
8. To Myself
少しファンクなニュアンスを含んだ軽快な一曲。 曲が進むにつれて熱を帯びていき、最後にはしっかりと感情が解き放たれる。 自己対話のようなテーマが、彼女の歌声の強さとよく合っている。
総評
『MINDFIELDS』は、Alicia Creti の感情をそのまま音にしたようなEPだ。 ピアノを軸にした美しいサウンドと感情の揺れをそのまま響かせる歌声。 短い構成ながら、彼女の表現力の幅と、心の奥にある葛藤や優しさが丁寧に描かれている。
新世代R&Bの中でも、ここまで“感情”をリアルに伝えられるシンガーは多くない。 Alicia Creti の魅力が詰まった、聴き応えのある一枚。
Gen Neoの成熟したR&Bが静かに輝くEP ”Through Thick & Thin”
シンガポール出身で、K-POPの制作現場を長く支えてきたR&Bソングライター/プロデューサー、Gen Neo。多作な彼だが、どの作品でも自身の低音テナーボイスの魅力を惜しげもなく発揮してくれる。深く響く声は情熱的でありながら、しっとりと聴かせるバランスが絶妙で、夜の静けさにそっと寄り添うような温度を持っている。
今回のEP Through Thick & Thin は、その声の魅力と、彼が持つ“誠実なR&B”の質感が自然に表れた作品だ。揺れや迷いを抱えながらも、誰かを想い続ける静かな強さが、全体のムードとして穏やかに流れている。
1. Can’t Fool Nobody
しっとりとした雰囲気の中で、Gen Neoの低音がゆっくりと空気を震わせる。 セクシーでありながら、どこか脆さを抱えた歌い方が印象的で、声の熱がじわりと滲む。 その“熱のこもった歌い上げ”が、曲の静かな質感と美しく重なる。
2. Gold Heart
スローだがバラードではなく、どこか妖しげなムードを漂わせる一曲。 控えめなビートの上で声がゆっくりと伸びていき、徐々にまっすぐに歌い上げる後半が心地よい。 “心に残る歌”という言葉がそのまま当てはまる、Gen Neoらしい美しい構成。
3. Hold Me Close
アップテンポなビートが心地よく、EPの中で最も軽やかな曲。 それでも彼の低音テナーボイスはしっかりと存在感を保ち、 スローが得意な彼がアップテンポでも魅力を失わないことを証明している。
4. Times Like This
シングルカットされ、Official Videoも公開されている楽曲。 柔らかい鍵盤と淡いビートの上で、Gen Neoの声がゆったりと漂う。 MVは歌うだけのシンプルな構成だが、静かな夜のムードが美しく、 落ち着いた色調が曲の優しい温度をそのまま閉じ込めている。
5. The Show / 6. Stuck
どちらもリズムの心地よさが際立つ楽曲。 流れるような歌い方が続き、EPの“夜の都会”のムードをさらに深めていく。
7. Like We Once Knew
最後の曲は、少しだけ爽やかな風が吹く。 過去を振り返りながらも前に進もうとする気配があり、 EP全体の“静かな情熱”を締めくくる、美しい余韻のある一曲。
曲の雰囲気は似たトーンで統一されているが、 それでも各曲のメロディーの魅力がしっかりと伝わるのは、 彼がソングライター/プロデューサーとしての確かな技術を持っているからだ。
低音テナーボイスの深み、ミニマルな編成、夜の静けさやほのかな後悔。 そのすべてが、EP Through Thick & Thin の世界観と美しく結びついている。
声が寄り添うR&B──Q Parker, Jai Vaughn – Get Better
Q Parker とセントルイスのゴスペルシンガー Jai Vaughn が届ける“Get Better”は、甘さと優しさがそっと重なるようなデュエット曲。112で培われたQの深い声の温度と、Jai Vaughn の透明感のある歌声が、まるで寄り添うように溶け合っていく。
歌詞はとてもシンプルで静かな励ましのメッセージが軸になっている。ただ寄り添うように“良くなる未来”を信じて歌う。その優しさが、曲全体に柔らかい光を灯している。
Qの包み込むような低音を土台に、Jaiの声がその上に重なる瞬間は、まさに聞く人に“癒し”を与えてくれます、R&Bの甘さとゴスペルの温かさが自然に混ざり合い、聴いているだけで心に沁みわたる静かに胸に残る一曲。 二人の重なり合う歌声がそっと寄り添ってくれる優しいデュエットです。
遊び心と恋心が踊り出す──비비 (BIBI) – BUMPA
BIBI姉さんがライブでたびたび披露してきた“BUMPA”がついに正式リリース。いつ出るのだろうと待ち続けていた分、ついに来たという気分です。その瞬間が訪れたことが本当にうれしい。彼女にとってこういう歌謡曲テイストの楽曲は“お手の物”で、BIBIにしか出せない独特の味わいが最初の一音からしっかりにじみ出ている。
歌詞は、恋の高揚感や“ぶつかるように弾ける気持ち”を軽やかに描いたもの。気になる相手に向かって、少し挑発するように近づいていく――そんな茶目っ気のある恋の駆け引きが、明るいテンションのまま進んでいく。重さはなく、むしろ“恋の楽しい瞬間だけをすくい取った”ような軽やかさが心地よい。BIBIの声がその遊び心をやわらかく包み込み、曲全体に自然な笑顔を添えている。
曲全体に漂う“楽しさ”がとても自然で、聴いているこちらまで元気を分けてもらえるような一曲。BIBIはクールなK-POPから歌謡曲風の楽曲まで幅広く歌いこなすけれど、こうした印象的なサビを持つ歌謡曲寄りの楽曲こそ、彼女の魅力がもっとも伸びやかに発揮される。少し茶目っ気のある表情や、楽しそうに歌う姿も相まって、曲の世界がより愛らしく、より鮮やかに立ち上がってくる。
特に2つ目の動画で見せる、ラインダンスのようにみんなで楽しげに踊るシーンは、見ているだけで思わず笑顔になるほど。歌詞の“みんなで楽しむ”空気と映像がぴったり重なっていて、BIBIが放つ“陽のエネルギー”がそのまま映像に溶け込んでいる。 さらに、3つ目の動画の It’s Live では、ライブサウンドでもしっかりと歌の魅力を見せてくれていて、曲の“弾む恋心”がよりかわいらしく伝わってくる。
次々と発表される楽曲がどれも個性的で、どれも強い存在感を放つBIBI。今回の“BUMPA”もまた、彼女の多彩さと遊び心が詰まった一曲として、長く愛される作品になりそうだ。