静かに息づくソウルの記憶 JANE HANDCOCK – Can’t Let Go

カリフォルニア州のオークランド出身ベイエリア出身のシンガー/ソングライター、JANE HANDCOCK。
彼女の音楽には、“過去のソウル”と“今のR&B”が自然に同居している。
「Can’t Let Go」は、バランスがもっとも美しく現れた一曲だと思う。

ビートはシンプルで、余白が多い。
その静けさの中で、低く響くクールなシンセベースがゆっくりと空気を震わせる。
丸くて温かいのに、現代的なHIPHOP的な低音。
この揺れが、曲全体の呼吸を決めている。JENEの歌もゆったりと包み込んでくれる。元恋人との逢瀬から抜け出せないそんな気持ちを歌っているが、そのまっすぐな言葉が聞き手に届きます。

そしてサビに入ると、ふわりとストリングスが重なる。
その“チャチャッ”と短く跳ねるような入り方が、
思わず Bobby Caldwell「What You Won’t Do For Love」 を思い起こさせる。
メロディーはまったく違うのに、
コードが切り替わる瞬間のストリングスのアクセントだけが
あの曲の甘さと浮遊感をそっと呼び戻す。

サンプリングではない、静かで、もっと控えめな“構造の引用”。
JANE HANDCOCK が持つソウルの記憶が、
現代のR&Bの中で自然に息をしているような感覚だ。

MVは、曲の空気をそのまま映像にしたような静かな世界。
車を走らせ、車の前で気持ちよさそうに歌うJENEの表情に引き込まれていきます。

「Can’t Let Go」は、
過去のソウルを知る人には懐かしく、今のR&Bを聴く人には新しく響く。
その境界線に立ちながら、JANE HANDCOCK は歌っていく。

彼女のアルバムはこの曲以外にも素晴らしい楽曲がたくさんあります。

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“静かな浮遊感をまとったR&B — ICONIXX『Paper Planes』

ICONIXX は、ロサンゼルスを拠点に活動する Pop/R&B ガールグループ。
Harley、Shayah、Tia、Tyra の4人が持つ柔らかい声質と、どこか“音の余白”が魅力のユニットだ。
Tia、Tyraと日英バイリンガルのメンバーも在籍していて、グローバルな感覚とそっと滲む感情が自然に同居している。

「Paper Planes」は、サビのメロディーが心地よい中に様々な繊細さと力強さが同居した彼女たちの持ち味が美しく滲み出る一曲だ。ミニマルなビートの上に、シンセと深めのベースがゆっくりと重なり、夜の空気のような冷たさと、体温の残る余韻が同時に漂う。ボーカルは息を多めに含んだウィスパー寄りの歌い方で、語尾を強く閉じず、ふわりと溶けるように処理されている。その柔らかい声が、紙飛行機の比喩と自然に重なり、コントロールを失うような揺らぎを音として表現している。サビに受け手の力強さも感じることができるボーカルが素晴らしい。
恋に溺れていた過去を振り返りながら、まだどこかで揺れてしまう心を“紙飛行機”に重ねて描く。
軽く舞い上がるけれど、風に流されればすぐに形を崩してしまう——
その壊れやすさが、曲全体に静かに漂っている。

MVは暗い夜の部屋の中で進んでいく。
ネオンの光がゆっくりと揺れ、メンバーは男性ダンサーと寄り添うように踊りながら、
MVでは画面を揺らしながら、揺れる心がふっと浮き上がる瞬間や、
逆に落ちていくような不安をそっと映し出している。
日本語がちょっと出てきたりするところはびっくりします。

ICONIXX の歌声はセクシーでありながら、どこか柔らかく、その中に温度を持っている。
耳元でそっと囁くように感情を伝えてくる。
恋の余韻や、まだ手放しきれない想いを、静かに、丁寧にすくい上げている。

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2BYG – Wassup – Vocal Groupとしての復権を決定づける一曲

ついにリリースされたアルバムのシングルカット「Wassup!」。これが最高にかっこいいダンサブルなR&Bになっています。2BYGのシングルの中でも一番好きな曲といっていいほど完成度が高い。

✨ 久々に現れた“本格派”男性R&Bボーカルグループ

ここ数年、R&Bの世界でしっかりと“歌”で勝負する男性ボーカルグループは本当に少なくなってしまった、思い浮かぶのは WonMor、Sentury、No Guidance くらいで、どれも貴重な存在だ。女性ボーカルグループの復刻とともに ここ数年で少しずつ”あの頃の匂い”を感じさえるグループが増えつつある中、 2BYG(To Be Young & Gifted) は、“歌で魅せるグループ”の復権を感じさせる数少ない存在だ。
彼らは テキサス・フォートワース出身の4人組(Matt Brown / Touré / Nixx / KD)で、高校時代のタレントショーをきっかけに活動を始め、 教会で育ったメンバーが多いことから、ゴスペル由来の声の強さとハーモニー感覚がそのままグループの核になっている。 Def Jam からのリリースという点も含め、2020年代後半にこうした“正統派R&Bボーカルグループ”が出てくること自体が嬉しい驚きだ。

🎶 圧倒的なコーラスワーク

「Wassup」でまず耳を奪われるのは、やはり極上のコーラスワーク。 4人それぞれの声質がしっかりと立ちながら、重なった瞬間に生まれる厚みと滑らかさは、近年のR&Bシーンでもなかなか出会えないレベルだ。 単にハモるのではなく、声の表情でグルーヴを作るタイプのコーラスで、2000年代の名グループたちを思い出すような懐かしさがある。
この“Y2Kの甘い香り”が、曲全体の魅力をさらに引き立てている。

🕶️ Y2Kの香りをまとったモダンR&B

トラックはモダンでダンサブルなのに、どこかY2Kの甘い香りが漂う。 メロディの運び方やコーラスの入れ方に、2000年代R&Bの“あの感じ”がふっと蘇る瞬間があって、R&B好きにはたまらない。 それでいて古さはなく、2026年の空気感に馴染むのが2BYGの魅力だ。
特にMVでは、曲の持つグルーヴとコーラスの美しさを引き立てながらも、90年代~2000年代のボーカルグループが持つちょっとした空気感をうまく表現していて、ダンスもあえてそれほどセクシーに寄せすぎず自然な色気を残した演出で曲の魅力を引き立てている。

🔥 2BYGの魅力が最もストレートに出た一曲

アルバムの中でも「Wassup」は、彼らの強みが最もわかりやすく表れた曲である。 コーラスの美しさ、グループとしてのまとまり。 “ボーカルグループってやっぱりいいな”と素直に思わせてくれる、そんな一曲。

まずはぜひアルバムをしっかりと聞いてほしい!これほどに濃厚なコーラスワークを見せてくれる2BYGのアルバムはどの楽曲も素晴らしい。これはまた後日レビューしたいと思う。

2BYG Official Site(Def Jam / UMG 管理) https://2byg.lnk.to/TheYearbook
2BYG – Official YouTube Channel https://www.youtube.com/@2byg
Instagram@2byg_ https://www.instagram.com/2byg
Tiktoc@2byg_ https://www.tiktok.com/@2byg_
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“Say My Name”が映す、ミヨンの静かな美しさ – MIYEON – Say My Name

ミヨンの「Say My Name」を観ていると、 彼女が“誰かに探してほしい”と静かに願っているような気配が漂う。 i-dle の華やかなステージとは違い、ここでは一人の女性として、 届かない想いを抱えたまま、そっと名前を呼び返している。

🌙 映画のような静かな美しさ

MVは、まるで短編映画のように淡く、静かに進んでいく。 ゆっくりと流れていく時間の中でミヨンのまっすぐな瞳と横顔を映す光と、その一瞬の陰影だけで、抱えている孤独や痛みが伝わってくる。後半の誰かとすれ違いながら日々が過ぎていくような切なさも胸に残る。これまでの“清楚なミヨン”とは違い、成熟した大人の女性としての余韻と哀しみが静かに滲んでいて、 ただ美しいだけではなく、物語そのものを纏ったような表情を見せる。

一人で歩くシーンから誰かとすれ違うようになっていく流れは特に印象的で心のすれ違いと“届かない想い”をそっと映し出している。

🎧 声の余韻で描くバラード

「Say My Name」は、余白を感じさせるピアノの音色が広がり、 ミヨンの柔らかく美しい声がその空間にそっと落ちていく。i-dle では、透明感のある高音でMainを歌うことも多い彼女だが、息を漏らすような囁きとサビでの透き通る歌声が儚さを際立たせている。“名前を呼んで”という言葉は、未練ではなく、「まだ私を見つけてくれますか」という願いに近い。その切実さが、声の中の余韻を生んでいる。

「Say My Name」は、 ミヨンというアーティストの“静かな魅力”を丁寧に照らし出している。 彼女の美しさをただ飾るのではなく、 その奥にある感情まで丁寧に照らし出す作品だ。

そっと背中を押すソウル。Glenn Lewis 、13年ぶりの新作「Past Tense」

Glenn Lewis がついに新譜をリリースしました。前作は2010年代前半だったので、実に10年以上ぶりの新作です。これまでもリリース直前まで情報が出ては消え…という状況が続いていたアーティストだけに、こうしてしっかりとリスナーの耳に届くのは本当にうれしいですね。

2000年代に「Don’t You Forget It」でネオソウルの中心にいた彼が、どんな“今”を届けてくれるのか。まずは復帰作となる「Past Tense」を聴いてみました。


2013年の「Moment of Truth」以来、実に13年ぶりの本格的なソロ復帰作です。自身のレーベル Reimagery Inc からの初リリースで、新たな一歩を踏み出しています。2026年夏にはフルアルバムが予定されているとも噂されています。


なんといっても Glenn Lewis といえば “Don’t You Forget It”(2001)。この曲で一躍注目を集め、グラミーにもノミネートされた彼は、音楽一家に生まれ、Donny Hathaway を思わせる温かい歌声で多くのリスナーを魅了してきました。

新作「Past Tense」は、報われない恋に悩む女性へ“その恋はもう過去形にしていい”と語りかける優しいソウルバラード。タイトルがそのまま歌詞の情景を映しており、Glenn の成熟した視点が光ります。
サウンドは、2000年代ネオソウルの質感を残しつつ、2026年の空気感にアップデートされた滑らかな仕上がり。声の温度感はそのままに、以前よりも落ち着きと深みが増していて驚かされます。
個人的には、彼の “What’s Come Over Me feat. Amel Larrieux” のような柔らかいデュエットも大好きなので、アルバムではそうした一面も聴けたらうれしい。

この「Past Tense」は、2026年のR&Bシーンにおける Glenn Lewis の確かな復活を告げる一曲になるだろう。

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