そしてサビに入ると、ふわりとストリングスが重なる。 その“チャチャッ”と短く跳ねるような入り方が、 思わず Bobby Caldwell「What You Won’t Do For Love」 を思い起こさせる。 メロディーはまったく違うのに、 コードが切り替わる瞬間のストリングスのアクセントだけが あの曲の甘さと浮遊感をそっと呼び戻す。
サンプリングではない、静かで、もっと控えめな“構造の引用”。 JANE HANDCOCK が持つソウルの記憶が、 現代のR&Bの中で自然に息をしているような感覚だ。
「Say My Name」は、余白を感じさせるピアノの音色が広がり、 ミヨンの柔らかく美しい声がその空間にそっと落ちていく。i-dle では、透明感のある高音でMainを歌うことも多い彼女だが、息を漏らすような囁きとサビでの透き通る歌声が儚さを際立たせている。“名前を呼んで”という言葉は、未練ではなく、「まだ私を見つけてくれますか」という願いに近い。その切実さが、声の中の余韻を生んでいる。
「Say My Name」は、 ミヨンというアーティストの“静かな魅力”を丁寧に照らし出している。 彼女の美しさをただ飾るのではなく、 その奥にある感情まで丁寧に照らし出す作品だ。
Glenn Lewis がついに新譜をリリースしました。前作は2010年代前半だったので、実に10年以上ぶりの新作です。これまでもリリース直前まで情報が出ては消え…という状況が続いていたアーティストだけに、こうしてしっかりとリスナーの耳に届くのは本当にうれしいですね。
2000年代に「Don’t You Forget It」でネオソウルの中心にいた彼が、どんな“今”を届けてくれるのか。まずは復帰作となる「Past Tense」を聴いてみました。
2013年の「Moment of Truth」以来、実に13年ぶりの本格的なソロ復帰作です。自身のレーベル Reimagery Inc からの初リリースで、新たな一歩を踏み出しています。2026年夏にはフルアルバムが予定されているとも噂されています。
なんといっても Glenn Lewis といえば “Don’t You Forget It”(2001)。この曲で一躍注目を集め、グラミーにもノミネートされた彼は、音楽一家に生まれ、Donny Hathaway を思わせる温かい歌声で多くのリスナーを魅了してきました。
新作「Past Tense」は、報われない恋に悩む女性へ“その恋はもう過去形にしていい”と語りかける優しいソウルバラード。タイトルがそのまま歌詞の情景を映しており、Glenn の成熟した視点が光ります。 サウンドは、2000年代ネオソウルの質感を残しつつ、2026年の空気感にアップデートされた滑らかな仕上がり。声の温度感はそのままに、以前よりも落ち着きと深みが増していて驚かされます。 個人的には、彼の “What’s Come Over Me feat. Amel Larrieux” のような柔らかいデュエットも大好きなので、アルバムではそうした一面も聴けたらうれしい。
この「Past Tense」は、2026年のR&Bシーンにおける Glenn Lewis の確かな復活を告げる一曲になるだろう。